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山本由能(ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法上級インストラクター師範)

「愛犬との暮らしをきっかけに犬の栄養学をたくさん学び実践してきました。
私が作ったごはんを愛犬が喜んで食べてくれる様子を見るのが何より幸せ。
愛犬の心と体を健康にするごはんを多くの人に伝えていきたいと思っています。」

 

夏は、外の暑さと室内の冷房との温度差が大きくなりがちです。それで体調を崩さないように注意したいものですね。特に老犬では、夏場の食欲低下をできるだけ防ぎたいところですね。

病気や症状によっては、獣医師から指定のものしか与えてはいけないことが多くなりますが、食べないよりは、何か食べられるものを探して与えるようにと言われることもあります。

暑い時期には、ひんやりとした口当たりのものが食欲をそそり、食べることをサポートできるケースがあります。

今回は、ひんやり・さっぱり、それでいて胃にやさしいミルクゼリーのレシピや与え方についてペット栄養管理士の山本が説明します。

犬にゼラチンを与えてもいい?

ゼラチンは牛や豚のコラーゲンから作られた天然のタンパク質ですので、適量であれば問題なく愛犬に与えることができます。化学的な添加物ではない点でもおやつやごはんに使いやすい素材です。

 

ゼラチンを使う主なメリットは次の3つです。

・皮膚・被毛、関節の健康サポート

・低カロリー

・水分補給

 

コラーゲンは、皮膚・被毛、また関節成分の材料になるものです。もちろんお肉からでも摂れますが、ゼラチンになっている段階で消化にやさしい素材と言えます。

 

また、ゼリーに使用する量は、わずか5g です。愛犬が食べやすいように今回は少し多めの使用とはいえ、17kcalしかありません。今回のように鶏ささみや野菜と一緒に与えるなど、おやつはもちろん、ごはんの一部として利用しやすいです。

愛犬用ミルクゼリーのレシピ

■材料

・ミルク(ヤギミルク、牛乳、豆乳のいずれか) 120CC

・野菜フレーク とうもろこし https://petpro.jp/product_1007/ 6g

・鶏ささみ 20g

・トマト 15g

・ミニアスパラ 1本

・リンゴ 少量

・ゼラチン粉 5g

・湯(ゼラチンを溶かすため80℃) 50cc

・ミントの葉(無くても良い)

 

※上記のレシピは作りやすい分量(ゼリーは3個分)です。

出来上がり写真は、ゼリー1個分、そのほかの材料は全量で盛りつけています。
与える際は適量を意識してください。

カロリー(全量):およそ100kcal(材料全量)

 

■作り方

①ミニアスパラガスと鶏ささみを食べやすい大きさに小さく切ります。水100CC(分量外)を小鍋に入れて茹でます。鶏ささみに火が通ったら火を止めて冷まします。ミニトマトとリンゴは仕上げ前に切るといいでしょう。

②ミルクと野菜フレークをよく混ぜておきます。

ゼラチン粉は、80℃に温めたお湯(沸騰させてから少し置いたものを使うなど)で、溶いておきます。

※湯の温度が低すぎる(入浴できるような温度のイメージ)、または沸騰しているような状態ではゼリーが固まらない場合があるので注意してください。ゼラチンの箱に説明が書かれていますので、その通りにご使用ください。

③②のミルクと溶かしたゼラチンをよく混ぜて器に入れます。今回は小さなガラスコップに3つに分けて入れました。(シリコンカップなどでもいいでしょう)

あとで、そのまま取り出したい場合は、薄くサラダ油を塗っておくときれいに取り出せます。

冷蔵庫で2~3時間くらい冷やしたら出来上がり。

①の鶏ささみ、ミニアスパラガス、みじん切りにしたトマトや薄切りリンゴ、ミントの葉を添えたら出来上がり。

■与える量(給与量)の目安やアレンジ

今回のレシピでは、ゼリーは3個できます。ゼリー全量のカロリーは65kcalほどです。

体重4kg成犬で考えますと、1日のおやつとしては、ゼリー1個分が目安です。

さらに鶏ささみや野菜、果物も加えていますので、一日の食事量から1~2割ほど減らした代わりに与えるといいでしょう。(通常なら1割減らし、ダイエット時なら2割減らすのが目安です)

ミルクはカロリーが気になる場合は、水で薄めてもいいでしょう。ご参考までに、低脂肪牛乳と豆乳はほぼ同等のカロリーです。少しでも脂肪を控えたい場合に選ぶといいでしょう。また無糖のヨーグルトにするなど、アレンジも可能です。

さいごに

暑い夏を乗り切るためには、愛犬の食欲をいかに維持するかが大切です。ひんやりしたミルクゼリーは、食欲が落ちがちな時期にも食べやすく、水分補給にもなります。

ゼラチンのコラーゲンは皮膚・被毛や関節成分を作る材料にもなるうえ、低カロリーなのでダイエット中の愛犬にもおすすめです。 鶏ささみや野菜をトッピングすることで、栄養バランスも整えられます。愛犬の好みに合わせて、具材をアレンジしてみてくださいね。

ただし、体調に不安がある場合や、普段と違う症状が見られる場合は、まず獣医師にご相談ください。愛犬が元気に夏を過ごせるよう、手作りおやつで応援してあげませんか。

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山本由能(ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法上級インストラクター師範)

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愛犬の心と体を健康にするごはんを多くの人に伝えていきたいと思っています。」

 

じめじめした空気に包まれる梅雨の季節。湿度が高くなるこの時期は、人も動物も「体に湿気がたまりやすい」といわれています。また、特に感情の発散が苦手な性格に多いのが体の中に熱をためやすいことです。この時期の皮膚の不調には、湿気や体内の余分な熱が悪さをしていることがあります。

今回は、そんな季節にぴったりの“さっぱり整う”ごはんをペット栄養管理士の山本がご紹介します。

じめじめ季節の体調サポートには

梅雨どきの6月は、中医学でいう「湿邪(しつじゃ)」が強くなる季節。
この湿気は体内に入りこむと、消化力(脾のはたらき※)を弱めるだけでなく、熱と結びついて「湿熱(しつねつ)」となり、皮膚のトラブルにつながることもあります。

今回のレシピは、そんな時期にぴったりの「湿」と「熱」をゆるやかに発散し、体の中から巡りを整える一皿です。

・豚肉は気血を補いながらも、こもった熱をやわらげる性質があり、疲労回復にも役立ちます。

・オクラさつまいもは「脾」を助けて余分な湿を排出し、お腹の調子をサポート。

・オートミールはエネルギー源になりつつ、消化にもやさしい穀物。

さらに、大根おろしシソの葉を合わせた香り高いトッピングには、

・気の巡りを整え、熱を発散させる

・皮膚のもやっと感(赤み、かゆみ)を予防し、さっぱりと整える
というサポートの意味も込めています。

辛味がやや強い大根おろしは、とうもろこしフレークを混ぜて甘みと穏やかさをプラス。
仕上げに数秒レンジで加熱することで、辛味を和らげ、よりマイルドに整えました。

じめじめした空気に負けず、皮膚も内臓も「こもらない」食事で、気持ちよく季節を乗り切るサポートができるといいですね。

※中医学の脾は、西洋医学の脾臓の働きとは異なります。

愛犬用豚肉と大根おろしの養生ごはんレシピ

■材料

 

・野菜フレーク とうもろこし https://petpro.jp/product_1007/ 3g

・豚肉(肩ロースorモモ肉) 80g

・大根おろし 30g分

・サツマイモ 20g

・オートミール 10g

・オクラ 1本

・パプリカ 10g

・紫蘇葉 1枚

・乾燥小魚(イワシ) 2匹

 

※上記のレシピは体重4kg成犬の1日分のカロリー相当量(控えめ)です。

与える際は愛犬に合った適量を与えて下さい。

 

カロリー(全量):およそ290kcal(材料全量)

 

 

■作り方

①豚肉はこま切れに、オクラ、サツマイモは2~3㎜の薄さに、パプリカは細かくみじん切りにします。

②鍋に水100cc(分量外)、豚肉、パプリカ、オートミールを入れて火にかけます。炒め煮のように中火で混ぜながら熱し、豚肉に十分に加熱できたら火を止めます。

③さつまいもとオクラは耐熱容器に水100cc(分量外)を一緒に入れて電子レンジ600Wで2分ほど加熱し、水気を切っておきます。(サツマイモが柔らかく火が通るまで加熱します)

④大根おろしと紫蘇葉と野菜フレークを混ぜる。(大根おろしの水分量が少ない場合は、水を小さじ1ずつ足して混ぜてください)

器に②③を盛り、大根おろしをトッピング、小魚をほぐしてちらしたら出来上がり。

 

■与える量(給与量)の目安やアレンジ

今回のレシピでは、体重4㎏の成犬(避妊・去勢済み)の1日分としては控えめのカロリーです。雨でお散歩が休みがちになるときや、水分豊富なトッピングのひとつとして利用してください。紫蘇葉の香りは湿気で滞りがちな体内の気の流れを整え、胃腸の働きのサポートに役立ちます。苦手な場合は、少しずつ働きは違うもののバジルやミント、パセリなどを少量代用してもいいでしょう。

また大根おろしの香りや食感が苦手な場合は、大根を細かく刻んで、他の具材と一緒に炒め煮にしても大丈夫です。大根は中医学でも「気の巡りをよくし、消化を助ける」とされる食材なので、形を変えてでも取り入れるのはおすすめです。

加熱することで辛味が和らぎ、ほんのり甘みも感じられるので、食べやすくなります。野菜フレーク とうもろこしは最後にふりかけても炒め煮に入れてしまってもいいでしょう。甘みをプラスして野菜をさらに食べやすくしてくれます。

さいごに

ひとつの鍋で一気に作るレシピではないので、少し面倒な気がするかもしれません。そんな時こそ丁寧さにチャレンジする機会でもあり、また多めに作って冷凍すれば時短にもなります。また手作り食はその1食で完全さを狙うものでもありません。

特に雨が多い時期は「なんとなく不調」が出やすいものですが、ごはんから整えることで大きな不調を防ぐことができます。もちろん、ごはん以外のケアも大切に。晴れた日は思い切り散歩を楽しんで体を動かすようにしてくださいね。

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山本由能(ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法上級インストラクター師範)

「愛犬との暮らしをきっかけに犬の栄養学をたくさん学び実践してきました。
私が作ったごはんを愛犬が喜んで食べてくれる様子を見るのが何より幸せ。
愛犬の心と体を健康にするごはんを多くの人に伝えていきたいと思っています。」

 

今回ご紹介するのは、春の陽ざしが強まってくるこの時期にぴったりの、緑鮮やかな野菜と、脂質が控えめで良質なタンパク源である鶏ささみを使った、見た目も栄養もバランスの良い一品です。

ブロッコリーやアスパラガスなどの色とりどりの野菜は、ただ彩りを添えるだけでなく、抗酸化作用や水分代謝をサポートする栄養素も豊富。季節の変わり目にも体にやさしいレシピとして活用いただけます。

野菜の魅力や与えるときのポイントも含めて、ペット栄養管理士の山本が解説します。ぜひ、おうちの愛犬にも季節の恵みを感じるごはんとして、お試しくださいね。

色鮮やかな野菜とクリルオイルのメリット

日差しが強くなり始めると紫外線によるダメージが気になります。また気温上昇でも体調を崩さないためには、水分摂取を意識するなど体の内側からのケアも大事になってきます。

今回のレシピでは、ブロッコリー・ズッキーニ・アスパラガスといった緑の野菜に、にんじんフレークで作ったやさしい甘さのソースをかけました。

🟩 緑の野菜の魅力

今回使用したブロッコリー、ズッキーニ、アスパラガスには、見た目の鮮やかさだけでなく、健康をサポートする栄養素がたっぷり含まれています。

・ブロッコリー:抗酸化作用のあるスルフォラファンやビタミンCが豊富。免疫サポートに◎

・ズッキーニ:水分が多く、消化にもやさしい。βカロテンも豊富です。

・アスパラガス:アスパラギン酸で疲労回復サポート。

これらの野菜に共通しているのは、カリウムが豊富なこと。カリウムは、体内の余分な水分や老廃物の排出をサポートしてくれるミネラルです。

気温がぐんぐん上がるこれからの季節は、水分補給が大切ですが、古い水分を体外に出し、新しい水分と入れ替えることも理想的。そのサポート役として、カリウムの多い野菜はおすすめです。

 

🧡 にんじんソースで目や皮膚の健康維持

にんじんにはβカロテンが豊富に含まれており、体内でビタミンAに変換されて利用されます。ビタミンAは、主に目や皮膚、粘膜の健康維持に役立ち、これらは外部環境から体を守るバリア機能を担っています。

特に春から夏にかけては紫外線が強まり、皮膚や目への負担も増える時期。こうした季節の変化には、食べ物からのケアも取り入れてあげたいですね。

 

💧あったら加えたいクリルオイル

さらに、もしご自宅にクリルオイル(オキアミ由来のオメガ3脂肪酸)などがあれば、ほんの少し加えるのもおすすめです。野菜に含まれる脂溶性ビタミンの吸収率を高めてくれたり、オイルそのものにも、皮膚や被毛の健康をサポートしてくれる働きが期待できます。

愛犬用ささみと彩野菜レシピ

■材料

 

・野菜フレーク にんじん https://petpro.jp/product_1008/ 3g

・ささみ 50g

・ブロッコリー 20g

・アスパラガス 10g

・ズッキーニ 10g

・オートミール 20g

・すりゴマ 1g

・クリルオイルカプセル 1粒(あれば)

 

※上記のレシピは体重4kg成犬の半日分のカロリー(およびタンパク質量)相当量です。与える際は愛犬の適量を与えましょう。

カロリー(全量):およそ150kcal(材料全量)

 

 

■作り方

①小鍋に水300cc(分量外)とささみを入れて火にかけます。沸騰したら中火にして5分ほどでしたら火を止め、ささみを取り出します(ささみの太さによっても変わるため、火が通ったかどうかささみをほぐして確認してください)煮汁は使うのでそのまま置いておきます。

②野菜を切ります。野菜を食べなれてない愛犬の場合は、できるだけ細かく切るといいでしょう。

③①の煮汁をオートミールに大さじ5杯、にんじんフレークに大さじ3杯加えてふやかします。

④①の鍋に③の野菜を入れて火をかけ、やわらかくなるまで煮ます。

器にオートミール、ほぐしたささみ、茹でた野菜を盛り、③のにんじんフレークをよく混ぜてからかけます。最後にすりゴマとクリルオイル(あれば)を垂らしたら出来上がり。

 

■与える量(給与量)の目安やアレンジ

今回のレシピは、体重4㎏の半日分の平均的なカロリー量(およびタンパク質量)で作っています。脂質はトッピングのクリルオイルの微量なものくらいなので、若くて活発なタイプの子には少し物足りないことも。

そんな場合は、野菜をオリーブオイルなどで軽く炒めたり、オートミールの代わりに白米を使用したりすることで、自然なかたちでカロリーアップができます。

また、主菜のささみを豚バラ肉や鶏モモ肉に置き換える方法もありますが、ささみと同じ重量ではタンパク質がやや不足しがちです。目安としては、豚バラ肉ならささみの約1.6倍、鶏モモ肉なら約1.2倍の量が必要になります。全量を一度に置き換えるのではなく、ささみの一部を脂の多い部位に変えて様子を見る方法がおすすめです。

体格や体調、活動量に応じて調整してあげてくださいね。

さいごに

気温が上がってくると、愛犬たちもなんだか元気に動きたくなるようですね。私自身も、少しずつ散歩の時間を長くするようになってきました。

余談ですが、散歩が長くなるにつれ気になるのは、自分のお肌への紫外線ダメージ。最近は、ビタミンCを朝と昼に分けてこまめに摂るようにしており、イチゴやキウイ、パイナップルなどを意識して食べています。
ちなみに柑橘類には“紫外線と反応しやすい成分(ソラレンなど)”が含まれるため、摂るなら夜が安心と言われています。

こうして栄養について少しずつ知ることで、愛犬にも自分にも、毎日できる工夫が増えていきます。今回の内容が、みなさんと愛犬との暮らしに少しでも役立てばうれしいです。

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山本由能(ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法上級インストラクター師範)

「愛犬との暮らしをきっかけに犬の栄養学をたくさん学び実践してきました。
私が作ったごはんを愛犬が喜んで食べてくれる様子を見るのが何より幸せ。
愛犬の心と体を健康にするごはんを多くの人に伝えていきたいと思っています。」

 

牡蠣には自然食材で摂り入れることが難しい「亜鉛」が豊富です。真牡蠣は寒い時期が旬ですが4月まではおいしく食べられますので貴重な栄養素を愛犬にもぜひ与えたいものです。といっても、肉の代わりに牡蠣をたっぷりというのは、食べなれない食材という点でも不安要素がありますから、豚肉など別の肉類と一緒に牡蠣を少し加えるという与え方がいいでしょう。

今回ご紹介するレシピは、お好み焼きの具材として牡蠣を使いました。牡蠣を与えるときの注意を含めて、ペット栄養管理士の山本が作り方を説明します。ぜひ参考になさってください。

犬に牡蠣を与えても大丈夫?

牡蠣は、犬にとっても栄養価の高い食材のひとつです。特に、自然の食材から摂取しにくい「亜鉛」が豊富に含まれており、免疫力の維持や皮膚・被毛の健康をサポートします。また、鉄分やビタミンB12も含まれており、貧血予防やエネルギー代謝の向上にも役立ちます。

ただし、与え方には注意が必要です。犬の食性として貝類をたくさん食べるということはありません。また、生の牡蠣には細菌やウイルスが含まれている可能性があるため、愛犬に与える際には必ず十分に加熱しましょう。加熱することで食中毒のリスクを減らし、安全に与えることができます。

牡蠣をスーパーなどで販売されているものは、生食用と加熱用の2種類があります。それぞれの特徴として、生食用は浄化処理が施されているため、細菌数が抑えられた状態で販売されています。風味は薄くなる傾向があります。一方、加熱用は浄化処理を行わないため、風味がしっかりしていますが、生では食べられません。また、どちらも常温で放置すると食中毒の原因となる菌が増えるのは同じです。生肉の取り扱いと同様に注意しましょう。切る直前まで冷蔵庫に入れておく。切ったらすぐに加熱調理しましょう。

また、牡蠣は貝類の中でも比較的柔らかい肉質ですが、初めて与える際は少量から試し、体調に問題がないか様子を見てください。特に胃腸が弱い子やアレルギーの可能性がある場合は、注意してください。

愛犬用牡蠣のお好み焼きレシピ

■材料

 

・野菜フレーク じゃがいも https://petpro.jp/post-16861/ 5g

・豚モモ肉(脂身は少し除く) 30g

・牡蠣 1/2個

・レンコン 20g

・キャベツ 13g

・ホウレンソウ 7g

・乾燥小魚(イワシ) 2

・太白ゴマ油(植物油など) 小さじ1/2

・イチゴ 1/3個

 

※上記のレシピは体重4kg成犬の1/3日分のカロリー相当量(たっぷりめ)です。

与える際は愛犬に合った適量を与えて下さい。

 

カロリー(全量):およそ120kcal(材料全量)

 

 

 

■作り方

①キャベツは線切り、豚肉・牡蠣・ホウレンソウは粗みじん切り、ホウレンソウは切ったあとに水につけておきます。レンコンはすりおろします。

※牡蠣や豚肉は常温で放置しないように注意してください。

②ホウレンソウを絞って水気を切り、①の材料とじゃがいもフレークと乾燥小魚を手で細かくつぶして一緒に混ぜます。

③フライパンに油をひいて、豚肉と牡蠣をしっかり炒め、上に②を乗せて焼きます。すぐに焼けるので弱火で形を整えながら焼いてください。4等分を目安に分けて焼くといいでしょう。

冷ましてイチゴを添えたら出来上がりです。

 

 

■与える量(給与量)の目安やアレンジ

今回のレシピでは、タンパク質量を体重4㎏の1/3日分の量ですが、カロリーは比較的多めです。カロリーを減らしたい場合は、豚肉の脂身を多めに取り除いたり、豚ヒレ肉を使ったり、炒める際の油をごく少量にする工夫をしたり、一日分の食事量の中で調整してください。

こげつきにくいフライパンやフライパンに敷いてこげつきにくくするアルミシートの利用、またはクッキングシートを使ってオーブンで焼いてもいいでしょう。

特に今回は粉類を使っていないので焼き固めるのが少し難しいです。カロリーは少し増えますが、小麦粉や片栗粉を振り入れると焼きやすくなります。

牡蠣が手に入りにくい場合は、鶏レバーなどをほんの少量使うのもおすすめです。牡蠣ほど豊富ではありませんが、鶏レバーにも亜鉛が含まれています。牡蠣と鶏レバーは、どちらも鉄分や亜鉛、ビタミンB群が豊富なので栄養価では似た特徴を持っています。何より愛犬たちが好物の素材でもあるので、犬用商品でも数多く販売されています。手軽な鶏レバーを使ってお好み焼きにトッピングしてもいいですね。

さいごに

牡蠣を正しく調理すると貴重な亜鉛が摂れます。最近では乾燥した牡蠣のおやつやふりかけの商品も出てきましたが、旬の新鮮な素材を使うのが手作りの楽しみのひとつです。おいしい時期の牡蠣を使っていろいろアレンジしてみてくださいね。

松山 美咲都(ペット家族動物病院千葉ニュータウン店 院長)

災害は、誰にでも起こる可能性があります。

いざというときに慌てず対応できるよう、普段から備えることが大切です。

今回のコラムが参考になれば幸いです。

 

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はじめに

みなさんは、日ごろからワンちゃんやネコちゃんのための防災対策をしているでしょうか?

日本は地震や台風などの自然災害が頻発する国です。家族の一員であるワンちゃんやネコちゃんは、自分で避難することができません。

そこで、ワンちゃんとネコちゃんの防災について、準備や避難のポイントについてお話ししたいと思います。

1.準備:日常から始める防災対策

【防災グッズの準備】

・フードと水:5~7日分のフードと水。ペットボトルの水と飲ませるための容器も用意しておくと役に立ちます。

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野菜の栄養もとれる商品⇒ 野菜フレーク

ネコちゃんにぴったりの保存食⇒ Cherie(シェリー)

水分もとれるワンちゃんにぴったりの商品⇒ メディダイエット

 

・トイレ用品:ネコちゃん用の砂やトイレシート、ワンちゃん用のマナーベルトやおむつなど。ゴミ袋やトイレットペーパーなども必要です。

・ケージやキャリーバッグ:避難時に安全に移動できるよう、慣れたケージを用意しましょう。普段からキャリーに入ることに慣らしておくことで、スムーズな避難ができます。また、ネコちゃんは洗濯ネットに入れてからキャリーに入れるとより脱走のトラブルを防ぎやすくなります。

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両手が空く便利なキャリー⇒ ペット用サステナブルキャリー ブラック

・リードやハーネス:首輪、ハーネス、リードの準備をしましょう。事前に破損などがないかしっかりチェックしましょう。

・毛布やタオル:キャリーにかけて目隠しや、防寒に役立ちます。

 

【マイクロチップや迷子札】

災害時、もし、ワンちゃん、ネコちゃんが逃げ出してしまった場合マイクロチップの装着や首輪に連絡先を記載することで、再会できる可能性が高まります。

 

【お薬などの記録】

ワクチン接種歴や普段飲んでいるお薬の内容などのメモを保管します。これらは避難先で何かあったときに役立ちます。

 

【写真】

最新の写真(顔がわかるもの、全体がわかるもの)を用意しておくと、行方不明になった際に探し出す助けになります。特徴的な模様、体重や体格も記録しておくと参考になるでしょう。

 

【予防】

混合ワクチンや狂犬病ワクチンの接種、寄生虫の駆虫は普段から行いましょう。

長期間の集団生活を余儀なくされることもあります。お互いが気を付けることで病気の予防につながります。

 

【避難経路】

事前に、自治体のホームページなどで、ペット同伴可能な避難所を確認しておきましょう。

2.災害発生時の対応:冷静な判断と行動

災害が発生したら、まずおうちの方自身の安全を確保しつつ、ワンちゃん・ネコちゃんを守る行動を取ります。

 

【室内での安全確保・避難】

・地震が発生した場合、ワンちゃんやネコちゃんはパニックに陥りやすくなります。落ち着いて声をかけ、キャリーバッグに入れましょう。落下物から身を守り、情報収集を行い避難の判断をします。

・避難が必要な場合は、ワンちゃんはリードやハーネスを装着、小型犬やネコちゃんはキャリーバッグに入れて移動します。

 

【避難所での過ごし方】

ワンちゃん・ネコちゃんと同伴の避難所では、ルールを守り、他の避難者に迷惑をかけないよう心掛ける必要があります。

・避難所ではケージ内での管理を求められることが多いため、普段からケージやキャリー内で過ごすことにも慣らしましょう。

・排泄物の処理は特に気を使いましょう。不衛生な環境は病気の原因になることもあります。必ず避難所の指示に従いましょう。

・ 吠え声やストレスを最小限に抑えるため、普段使用している慣れた毛布やおもちゃを入れてあげましょう。

・避難所の他、被災を免れたペットホテルや親戚・知人宅に預ける選択肢もあります。事前に、施設の把握や親戚などへの確認を行っておくと慌てずにすみます。

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3.同行避難の重要性

同行避難とは、ペットを同行し、指定緊急避難場所等まで避難することを言います。

(避難場所で一緒に避難生活を送ることは「同伴避難」と言います。)

災害時には、一番に人命が優先されますが、近年、ペットは家族の一員であるという意識が高まりつつあります。ペットと同行避難することは、動物愛護の観点のみならず、一緒に生活するおうちの方の心のケアの観点からも重要です。

また、ペットを同行せず一旦避難した後、ペットを非難させるために自宅に戻り二次災害に巻き込まれるケースも少なくありません。

災害発生時に、常に在宅しているとは限りませんが、事前にできる限りの備えをし、いつか起こるであろう災害に備えることが大切です。

 

まとめ

災害は、いつでも、誰にでも起こる可能性があります。

いざ、というとき、普段からの備えと知識があれば、災害を安全に乗り越えられる可能性が高まります。

悲しい思いをしないためにも、今日から少しずつ準備を進めてみませんか。

小谷 聡子(ペット家族動物病院稲城押立店 院長)

子供の頃は夏が一番好きな季節でしたが、大人になるにつれてクーラー病や夏の冷え、薄着や夏バテなど気になることが増えてしまい、苦手な季節になってしまいました。今回はそんな私の苦手な夏に気をつけること、特に水分摂取と熱中症対策についてお話しします。

 

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水分補給について

今年は6月の梅雨の時期から、真夏のような暑い日が続いています。梅雨も早く開けるようで、夏の期間が長くなりそうですね。

普段診察をしていて意外と多い相談事に、ワンちゃんネコちゃんが全然お水を飲んでくれないといったお悩みがあります。
今はペットフードも昔と違い、缶詰タイプやパウチのタイプ、セミモイストといった、ドライフードに比べると水分が多く含まれている総合栄養食※1や一般食・補助食が増えてきました。

お水自体をゴクゴク、ペロペロと飲まなくても、ドライフード以外のお食事や補助食を上手に使うことで水分摂取ができます。

※1:総合栄養食とは、1日に摂取すべき栄養素がバランスよく配合されており、その製品とお水だけで必要な栄養がすべて入っているペットフードをさします。

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メディダイエット

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メディスープ

 

お水は味がなくて、飲むのが苦手な子では、粉ミルクを水で薄く溶く、またヨーグルトを水で薄めることで飲んでくれることも多いです。

ドライフードを水でふやかすことも有効ですが、味が薄くなり食べなくなってしまう子には、ミルクやヨーグルトをかけてあげることも効果的です。

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ヨーグルトの場合は、砂糖の入っていないもの、脂肪分の少ないもの(低脂肪と書いてあると良い)を選んでください。

病気で低脂肪食を食べないといけない子以外でも、肥満対策で低脂肪のものを選ぶ方が増えており、低脂肪のペットフードやおやつをお勧めすることが多くなりました。

低脂肪と聞くと、なんだか味気ないように感じますが、今では様々なメーカーで研究がされており、ワンちゃんネコちゃん好みのフレーバーをつけた嗜好性の高い商品も多く出ています。

飼い主様から「これって食べさせて大丈夫ですか?」と見せてもらうペットフードやおやつなど、よく見ると低脂肪と書いてあるものも多く、こんなにたくさん増えているのか!と日々驚いています。美味しくて、体にいいものならば、長く続けられますね。

熱中症対策について

もう一つ、夏に気をつけることとして、熱中症対策についてお話しします。

熱中症対策としては、エアコンを26℃以下に設定する、日差しを避けて涼しい時間帯にお散歩に行く、水分補給をいつもより心掛ける、などが有名です。
家に帰ってきたら、クーラーの電源が切れて部屋が蒸し風呂状態になっていて、ワンちゃんネコちゃんが熱中症で亡くなっていたなど、悲しい事故も聞きますので、夏のお留守番は冬場より気を遣います。私の家では、夏場はカーテンを閉めてクーラーを複数台つけて、リビングやキッチンなどのドアは開け放した状態でお留守番をさせています。
ただし、エアコンが効きすぎて寒くなったワンちゃんネコちゃんがお腹を壊すといったこともありますので、冷えたおなかを温められるようにブランケットなどをいつも敷いておくことも大切です。

シニアのワンちゃんネコちゃんは暑さ寒さを若い時より感じにくくなっていますので、時々触ってからだが熱くないか冷たくないか、見てあげてください。

さいごに

少しでもおかしいなと感じたら、すぐに病院へ連絡をしてください。
病気になってから治療にとりかかるまでに、時間が空けばあくほど、比例して治るまでの時間もかかります。「熱中症かも」と思ってすぐに病院にいき点滴などの治療を行えば、翌日には全快する子もたくさんいます。

今年の夏は長くて暑いようですので、しっかり対策をとって、無事に乗り切りましょう。

小堀 幸美(獣医師、ペット家族動物病院成城店 院長)

シニア期の準備は早めに行い、快適に過ごせるようにしてあげましょう!

 

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シニア期に入る前に準備を

ワンちゃん、ネコちゃんのシニア期はいつからかご存知ですか?

一般的に、小型犬・中型犬や猫のシニア期は7歳から、大型犬のシニア期は5~6歳からと言われています。近年では犬猫の寿命は18~20歳ころまで伸びているため、シニア期は長く続くことになります。

加齢に伴いシニア期の中でも徐々にステージが変わっていき、身体の変化も目に見えるようになります。高齢になるにつれて食べるのが難しくなったり、排泄も思うようにいかなくなったりすることも。それぞれのステージに合った食事を選ぶことや、生活環境を整えてあげることが重要です。

シニア初期は見た目も元気さも以前と変わらないため、「まだ大丈夫」と感じるかもしれませんが、身体の中では確実に変化が起こっています。ワンちゃん、ネコちゃんが長く健康に生きられるよう、準備を早めにしておきましょう。

身体の変化をチェック

ワンちゃん、ネコちゃんは身体に異変が起きてもそれを伝えることが出来ません。そばにいるご家族がサインに気づいてあげることが重要です。以下のポイントをチェックしてみてください。

 

①関節の変化

段差や階段の上り下りをためらう、ゆっくりとしたスピードになる、以前は上がっていた場所に行かなくなるなどの変化があった場合、関節は曲がりづらくなり、関節炎で痛みがでている可能性があります。早めに病院に行きましょう。

お家での対策も重要です。段差の上り下りは関節に負荷がかかるので、スロープを設置してあげましょう。気づいたときは抱き上げてください。また、足を滑らせると関節に大きな負荷がかかるので、床に滑り止めを付けてあげるとよいでしょう。

関節を形成する成分であるコンドロイチンやグルコサミンなどが入ったサプリメントやごはんを、シニアになる前から与えてあげるのがお勧めです。特にネコちゃんは元々上下運動をする生き物なので、シニアの前から関節用サプリメントを摂取するとよいでしょう。サプリメントなどに敏感なネコちゃんはサプリメント入りのごはんにしてあげるのもお勧めです。

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②眼の変化

物にぶつかりやすくなる、触るとびっくりする、よく眩しそうにするなどの傾向がある場合、眼が見えづらくなっているかもしれません。頻繁に部屋の模様替えをすると戸惑ったり、物にぶつかったりするので、なるべく避けましょう。

変化が出る前にアントシアニンなど抗酸化成分が入ったサプリメントを与えてあげるのもお勧めです。

③行動の変化

トイレを失敗するようになる、ウロウロするようになる、狭い隙間に入って出られなくなる、夜泣きをするなどの行動があったら、認知症の疑いがあります。 事故が起こらないように家具の角に緩衝材を付けたり、高所から落下しないようにバリケードを作ったりして、環境を整備してあげましょう。

一般的に柴犬は認知症になりやすい犬種といわれていますが、最近では高寿命化により様々な犬種・猫種で認知症が出ています。ホスファチジルセリンやGABA、EPA、DHAが入ったサプリメントを与えると、発症を遅らせる可能性があります。

④口の変化

口臭がキツくなったり、以前より物を食べづらそうにしていたりしたら、歯周病かもしれません。歯周病になると、歯周ポケット(歯と歯茎の間)から細菌が血管に侵入しやすくなります。それが心臓、腎臓、肝臓、肺などに運ばれて内臓疾患や炎症を引き起こす可能性があるため、歯周は万病の元といわれているのです。

対策としてはまずは歯石が付かないようにすることが重要です。歯垢が付くと3日で歯石に変わると言われているので、日常的に歯ブラシなどでケアをしてあげましょう。

⑤毛なみの変化

毛なみは栄養状態や脱水状態、ホルモンバランスを反映しています。毛がパサパサしていたら、身体が脱水状態になっていたり、しっかり栄養が吸収できていなかったりしている可能性があります。

また、ネコちゃんは体調が悪い時や関節が痛い時には、毛繕いを行わなくなる傾向があります。毛束が増えたり、べたべたと脂っぽくなっていたりしたら、体調不良のサインかもしれません。

早めに動物病院へ相談しましょう。

⑥飲水量・尿量の変化

水を飲む量と尿量は、体の中の変化を表す優秀なバロメーターです。特に1日に摂取する水分量はしっかり把握しておくと良いでしょう。容器に入れる水の量を決めておけば、交換する際に残っている水の量から、おおよその飲水量がわかります。

尿量を計量するのは難しいですが、回数はしっかり把握しましょう。回数が増えていれば、頻尿もしくは尿量自体が増えているということで、どちらも要注意です。

⑦食事量・好みの変化

食事量が減って痩せてきた。あるいは食事量が減ったのに太ってきた。以前は何でもよく食べていたのに急に選り好みするようになった。こうした変化は、どれも病気のサインである可能性があります。動物病院に相談しましょう。

病気だった場合はいわゆる療養食が必要ですが、特に食事に制限がない場合は、消化しやすく、高タンパクで低脂肪のものを選ぶとよいでしょう。また、抗酸化成分の入ったフードを取り入れることや、ガラクトオリゴ糖や乳酸菌の入ったフードで「腸活」を行うことが、身体の老化を遅らせることにつながります。

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ひと口にシニア期といっても、7歳ごろの初期から段階的にステージが変化します。加齢に伴う身体の変化に合わせて、関節や腎臓、免疫などのサプリメントを検討しましょう。

また、ワンちゃん、ネコちゃんは加齢するにつれて、自分が脱水していることに気づきにくくなる点にも要注意です。ウェットフードを取り入れるなどして、意識しなくても水分をしっかり摂って脱水させない工夫も必要です。

健康診断

ワンちゃん、ネコちゃんの生きる早さは、人間の約6倍といわれています。シニア期に入ると一気に老化が進むこともあるので、年に2回は健康診断を受けるのがお勧めです。身体検査、尿検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行えば、病気の早期発見にもつながります。

また、いざというときに備えて、かかりつけの病院の休診日にも開いている病院や、夜間救急に対応している病院などをリストアップしておくとよいでしょう。


まとめ

年齢を重ねると身体の変化は出てきます。日々注意して見ていきましょう。また、シニア期に入る前に、食事や生活環境の見直しを行いましょう。

何か気になることがあれば動物病院に相談を、特に症状がなくても定期的に健康診断を受けるようにしましょう。

八木 麻美
(横浜北どうぶつ病院 院長)

猫は見た目だと何歳かわからないですよね。人の年齢に換算すると実は自分より年上だった!ということもあるのではないでしょうか。
今回は猫の年齢の考え方と、各年代で気をつけることをご紹介します。

 

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猫の年齢を人間に換算すると?

人間は1歳ずつ年をとりますが、猫の1年は人間でいうと4,5年と言われています。

環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」によると、猫年齢を人間年齢に換算する計算式は「24+(年齢−2)×4」とされています。1歳だけは例外で換算式を利用せず、15歳とします。この計算式を使い、猫の年齢を人間に換算すると以下の表のようになります。

年齢のわからない猫の見分け方

保護猫など正確な誕生日がわからず、年齢のわからない猫もいるかと思います。そのような猫は歯を見て大体の年齢を推測します。

子猫の乳歯は生後2週から萌出してきます。乳歯のない子猫は生後2週齢以下になります。乳歯が生えそろうのは生後6週以降のため、乳歯がすべてある猫は生後2ヶ月くらいと予想します。永久歯がすべて生えそろうのは生後6ヶ月以降です。白く、きれいな永久歯が生えている猫は6カ月から1歳くらいです。年をとって中年以降になっていくと、歯の変色や、歯石の付着が見られます。また、老猫になると歯が抜けることや、歯肉炎が出てくることがあります。

ただし病気の猫など歯の状態が著しく悪くなる猫もいるため、あくまで年齢は予測になります。

子猫期の猫が気をつけること

1歳までの猫が子猫期になります。人間でいうと15歳までの年齢ですね。人間もそうですが、子猫は身体を成長させることが重要です。

 

  • ①バランスのとれた食事

子猫の成長には栄養バランスのとれた食事が不可欠です。乳歯が生えている子猫は離乳しており、キャットフードを食べることができます。子猫用の総合栄養食を与えましょう。

おすすめの子猫用総合栄養食のウェットフードを下記にあげます。ドライフードの食べが悪い子に混ぜながらあげることもできます。

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この時期の子猫は体重が増えないと異常です。子猫が食べない、痩せていくなどの場合は病気の可能性があります。早めに病院を受診しましょう。

  • 病院で成長の確認

子猫は免疫力が弱く、感染症にかかる可能性があります。病院にてワクチン接種を行いましょう。また、体重の増加具合や、成長の様子を確認してもらいましょう。

便が緩い場合は、寄生虫がいる可能性があります。便検査をすることで診断できるので、来院時に便を持参することをお勧めします。

成猫期の猫が気をつけること

1歳を超えて7歳までの猫は成猫期になります。子猫期を終えて身体の成長が終わった猫は次に体重管理が重要です。

 

  • 食事は体重をみながら

生後6か月齢以降から避妊去勢手術ができるようになります。術後はホルモンバランスが変わるため、脂肪がつきやすく、太りやすくなります。子猫用のフードを与えている場合は避妊去勢した子用や成猫用に変えましょう。その後も太る場合にはダイエットフードがお勧めです。

理想体型と言われているのは、少しの皮下脂肪を通して肋骨を触ることができ、わずかにウエストがみられる体型です。この体型を維持できるようにしましょう。

  • 病院で健診と予防を

犬と違い猫は外に出ないからワクチン接種はしなくてもいい、と思う方もいるかもしれませんが成猫もワクチン接種が必要です。

定期的に猫の健康状態を把握するのも大切です。年に1回は健康診断を受けましょう。

老猫期の猫が気をつけること

7歳を超えると老猫期に入ります。猫の寿命は年々伸びており、20歳を超える猫も珍しくないです。

シニアライフを快適に過ごすために以下の点に気を付けましょう。

 

  • 食事の見直し

高齢猫は活動量が低下し、筋肉量や代謝の低下がみられます。消化機能、関節機能の低下や腎臓病を発症することがあります。

老猫用フードはこれらのためにタンパク質の調整やリン、脂質の制限を行っています。目でみえる変化はなくとも今後に備えてごはんの変更を行いましょう。

また、歯肉炎などの口腔疾患を引き起こし、固いドライフードが食べにくい猫もいます。軟らかい食感のウェットフードやセミモイストフードを与えることで楽に食べられることがあります。

 

  • 行動の変化がないか

老猫になることで行動が変化することがあります。そして実はその行動が病気だったということもあり得ます。気になる場合は病院で相談しましょう。

代表的な行動変化と考えられる疾患を以下にあげます。

高いところに登れない、おもちゃで遊ばなくなった → 筋量の低下、関節炎

トイレの失敗や夜泣き → 痴呆、認知機能の低下

ドライフードが食べられない、グルーミングをしない → 歯肉炎など口の痛みがある

過剰に水を飲む、尿量が多い → 腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症 など

  • ③定期的な通院

前述したとおり、老猫は腎臓病など多くの疾病を発症しやすくなります。老猫期になったならば年に2回は定期的な通院を行い、健診を受けましょう。病気の早期発見にもつながります。

まとめ

今回は猫の年齢の考え方と各ライフステージに気を付けることをご紹介しました。

こちらを参考に各年代の猫をケアしていきましょう。

秀嶋 綾(獣医師)

愛犬のしつけで悩むことは多いと思いますが、きちんと向き合い、根気よく、しかも楽しくやっていくことで、かけがえのない関係性を築くことが出来ます。

素敵な愛犬ライフを楽しみましょう!

 

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しつけとは

人とワンちゃんが互いに快適に暮らすため、ルールを決めて教えることを「しつけ」と言います。

仔犬と暮らし始めて、しつけをしなくては、と思う困りごとには以下のようなことがあげられると思います。

・咬み癖

・無駄吠え

・トイレの失敗

・社会化ができない など

これらは犬の習性からすれば異常な行動ではありませんが、一緒に暮らす上では問題のある行動になってしまいます。

家族の中でルールやコマンドを決めて、一貫した態度でしつけを行うことで、ワンちゃんとの信頼関係も深まります。

学習理論

しつけを始める前に、ベースとなる犬の学習の仕方を知っておきましょう。

犬は行動の結果に怒る良し悪しによって、その行動を増やしたり減らしたりします。分かりやすく言うと、損得勘定で行動すると考えてください。

例えば、

■お座りをしたらおやつをもらえた(得:嬉しいこと)→号令でお座りできるようになる。

■人の手や足を咬んでしまったらゲージに入れられた(損:嫌なこと)→手や足を咬まなくなる。

「嬉しいこと・楽しいこと」はしっかり褒める以外に、おやつをご褒美として使った方が効果的です。

「嫌なこと・悲しいこと」は無視をしたり、ケージに戻すなどして、構わないことが罰になります。

いわゆる体罰を行うしつけもありますが、むやみに体罰を行うことは、むしろ犬の攻撃性を引き出す結果となることもあり非常に危険です。犬のしつけは褒めることを基本としましょう。

 

それぞれの問題行動に対する対処方法

  • ①咬み癖

仔犬を飼い始めて、まず困るのが「甘噛み」かと思いますが、咬むという行動欲求はすべての犬が持っています。

遊びの延長、口で物を確かめる、歯が痒いなど、理由はいくつかあるかと思いますが、まずはロープ状のおもちゃで遊んだり、おやつを仕込んで楽しく学習できる知育トイなどを使って、この咬む欲求を満たしてあげましょう。

【手足を咬んだときの対処方法】

・咬んできたら(歯が当たるのも×)「痛い」や「ダメ」などの決めたワードを必ず大きな声で言いましょう。

・遊ぶのを中断し、犬の顔を見ずに無視しましょう。

―NG行為―

・手で遊ばせて咬ませ続ける

・咬まれた手を口の奥に押し込む

・落ち着かせようと抱きかかえたり撫でる

 

  • ②無駄吠え

咬むことと同様に、吠えることは犬にとって本能的な行動ですが、吠える理由は様々です。

・警戒や不安

・分離不安

・関心を求める行動、遊びの誘い

・認知症

【吠えるときの対処方法】

・基本的には吠える対象物からいったん遠ざかる

・叱るのではなく、静かになったらご褒美をあげる

・室内から窓の外に向けて吠える場合は、カーテンを閉める、窓のそばに行かせない

*おやつが欲しいなどの要求吠えの場合には、吠えても無視をしてください。

 

  • ③トイレトレーニング

トイレトレーニングの基本は、成功例を積み上げることです。成功して褒める回数を増やしていきましょう。

理想のトイレ環境は、寝床から少し離れた場所です。

サークルケージ内で排泄させたい場合は、寝床とトイレを分けられるサイズにしましょう。

幼少期は成功例を増やすために、排泄したい様子(そわそわする、においをかぐ、回る)が見られたら、トイレに誘導しましょう。排泄が出来たらしっかり褒めてご褒美をあげ、サークルから出して遊んであげましょう。

【失敗した時の対処方法】

・排泄物は静かに片づけ、においが残らないようにしっかり掃除する。

―NG行為―

・失敗を叱る。

*排泄行為自体を怒られたと勘違いすると、飼い主の目が届かないところで排泄したり、排泄物を隠すために食糞を増長させたりします。

 

  • ④社会化トレーニング

身体だけではなく心も成長する仔犬の時期に、適切な社会化を行わないと、問題行動につながる恐れがあります。

例えば、仔犬の時に様々な音(チャイム・花火・車・電車・雷など)に慣れていないと過剰に吠える原因になりますし、人や犬に慣れていないと警戒心から咬むなどの行動につながります。

社会化の適期は生後3~12週齢と言われています。なるべく早い月齢の時から外に連れ出しましょう(*ワクチン接種が済んでいない場合は、抱っこして連れていきましょう)。

<お散歩デビュー>

抱っこで連れていく場合にも、万が一を考えて、首輪(もしくはハーネス)とリードはつけておきましょう。

地面に慣れるまでは、ワンちゃんのペースでゆっくり、家の周囲から始めましょう。

食べられるようならおやつを与えながら、のんびり探検させてあげてください。

家の周囲に慣れてきたら少しずつ距離を伸ばしていきましょう。

*散歩はマナーが大切です。排泄物を処理するものもしっかり準備し、リードは適度な長さで持ちましょう。

犬の散歩は社会性を学び問題行動を抑制する効果があります。

小型犬だから外での運動は必要ない、ではなく、社会化不足にならないようにお散歩に連れていきましょう。