【獣医師監修】猫の年齢の考え方と年齢別に気をつけること

八木 麻美
(横浜北どうぶつ病院 院長)

猫は見た目だと何歳かわからないですよね。人の年齢に換算すると実は自分より年上だった!ということもあるのではないでしょうか。
今回は猫の年齢の考え方と、各年代で気をつけることをご紹介します。

 

 Index

 

猫の年齢を人間に換算すると?

人間は1歳ずつ年をとりますが、猫の1年は人間でいうと4,5年と言われています。

環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」によると、猫年齢を人間年齢に換算する計算式は「24+(年齢−2)×4」とされています。1歳だけは例外で換算式を利用せず、15歳とします。この計算式を使い、猫の年齢を人間に換算すると以下の表のようになります。

年齢のわからない猫の見分け方

保護猫など正確な誕生日がわからず、年齢のわからない猫もいるかと思います。そのような猫は歯を見て大体の年齢を推測します。

子猫の乳歯は生後2週から萌出してきます。乳歯のない子猫は生後2週齢以下になります。乳歯が生えそろうのは生後6週以降のため、乳歯がすべてある猫は生後2ヶ月くらいと予想します。永久歯がすべて生えそろうのは生後6ヶ月以降です。白く、きれいな永久歯が生えている猫は6カ月から1歳くらいです。年をとって中年以降になっていくと、歯の変色や、歯石の付着が見られます。また、老猫になると歯が抜けることや、歯肉炎が出てくることがあります。

ただし病気の猫など歯の状態が著しく悪くなる猫もいるため、あくまで年齢は予測になります。

子猫期の猫が気をつけること

1歳までの猫が子猫期になります。人間でいうと15歳までの年齢ですね。人間もそうですが、子猫は身体を成長させることが重要です。

 

  • ①バランスのとれた食事

子猫の成長には栄養バランスのとれた食事が不可欠です。乳歯が生えている子猫は離乳しており、キャットフードを食べることができます。子猫用の総合栄養食を与えましょう。

おすすめの子猫用総合栄養食のウェットフードを下記にあげます。ドライフードの食べが悪い子に混ぜながらあげることもできます。

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この時期の子猫は体重が増えないと異常です。子猫が食べない、痩せていくなどの場合は病気の可能性があります。早めに病院を受診しましょう。

  • 病院で成長の確認

子猫は免疫力が弱く、感染症にかかる可能性があります。病院にてワクチン接種を行いましょう。また、体重の増加具合や、成長の様子を確認してもらいましょう。

便が緩い場合は、寄生虫がいる可能性があります。便検査をすることで診断できるので、来院時に便を持参することをお勧めします。

成猫期の猫が気をつけること

1歳を超えて7歳までの猫は成猫期になります。子猫期を終えて身体の成長が終わった猫は次に体重管理が重要です。

 

  • 食事は体重をみながら

生後6か月齢以降から避妊去勢手術ができるようになります。術後はホルモンバランスが変わるため、脂肪がつきやすく、太りやすくなります。子猫用のフードを与えている場合は避妊去勢した子用や成猫用に変えましょう。その後も太る場合にはダイエットフードがお勧めです。

理想体型と言われているのは、少しの皮下脂肪を通して肋骨を触ることができ、わずかにウエストがみられる体型です。この体型を維持できるようにしましょう。

  • 病院で健診と予防を

犬と違い猫は外に出ないからワクチン接種はしなくてもいい、と思う方もいるかもしれませんが成猫もワクチン接種が必要です。

定期的に猫の健康状態を把握するのも大切です。年に1回は健康診断を受けましょう。

老猫期の猫が気をつけること

7歳を超えると老猫期に入ります。猫の寿命は年々伸びており、20歳を超える猫も珍しくないです。

シニアライフを快適に過ごすために以下の点に気を付けましょう。

 

  • 食事の見直し

高齢猫は活動量が低下し、筋肉量や代謝の低下がみられます。消化機能、関節機能の低下や腎臓病を発症することがあります。

老猫用フードはこれらのためにタンパク質の調整やリン、脂質の制限を行っています。目でみえる変化はなくとも今後に備えてごはんの変更を行いましょう。

また、歯肉炎などの口腔疾患を引き起こし、固いドライフードが食べにくい猫もいます。軟らかい食感のウェットフードやセミモイストフードを与えることで楽に食べられることがあります。

 

  • 行動の変化がないか

老猫になることで行動が変化することがあります。そして実はその行動が病気だったということもあり得ます。気になる場合は病院で相談しましょう。

代表的な行動変化と考えられる疾患を以下にあげます。

高いところに登れない、おもちゃで遊ばなくなった → 筋量の低下、関節炎

トイレの失敗や夜泣き → 痴呆、認知機能の低下

ドライフードが食べられない、グルーミングをしない → 歯肉炎など口の痛みがある

過剰に水を飲む、尿量が多い → 腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症 など

  • ③定期的な通院

前述したとおり、老猫は腎臓病など多くの疾病を発症しやすくなります。老猫期になったならば年に2回は定期的な通院を行い、健診を受けましょう。病気の早期発見にもつながります。

まとめ

今回は猫の年齢の考え方と各ライフステージに気を付けることをご紹介しました。

こちらを参考に各年代の猫をケアしていきましょう。