【ペット栄養管理士監修】愛犬用ポタージュ鯵と菜の花添え

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山本由能(ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法上級インストラクター師範)

「愛犬との暮らしをきっかけに犬の栄養学をたくさん学び実践してきました。
私が作ったごはんを愛犬が喜んで食べてくれる様子を見るのが何より幸せ。
愛犬の心と体を健康にするごはんを多くの人に伝えていきたいと思っています。」

 

3月はまだ寒さが残りますが、少しずつ春の気配を感じる時期です。気温が少しずつあがってくると愛犬たちは活動的になってきますね。

東洋医学の考えでは「春は解毒の季節」と言われていますが、体が活発になれば血行が良くなるなど体内の巡り(代謝)が良くなるという風に考えれば想像しやすいと思います。

今回ご紹介するレシピは、早春に摂りたい栄養素を意識した胃腸にやさしいポタージュです。ペット栄養管理士の山本が食材選びの理由もくわしく説明しますので、ぜひ参考になさってください。

早春に選びたい食材

寒い時期には犬も運動量が減る傾向があります。特にシニア犬や寒がりな犬種(チワワやイタリアングレーハウンドなど)は、寒さを避けるために動きが少なくなります。

春が近づいて気温が上がってくると日照時間も増えることで活動量が増すのは自然な流れです。特に日差しの刺激が体内時計に影響を与え、活発に動くようになります。運動量が増えると腸の働きも活発になるのでお腹が空きやすくなって食欲が増してくるでしょう。

とはいえ、胃腸は急な増量にびっくりしてしまうかもしれませんので、運動量が増えた場合は、食事の量を少しだけ増やして様子をみましょう。また特にシニア犬は気温差が苦手です。体の調整がうまくいかないのでストレスで消化器官の不調が出やすいものです。

以上を含めて早春の時期におすすめの食材をご紹介します。

・鯵(あじ)

筋肉や被毛の健康維持に必要なたんぱく質が豊富。冬の間に運動量が減った犬の体力回復にも役立ちます。また良質な脂を含み、特にDHA・EPAは、脳の働きを助けるだけでなく、関節の健康維持にも摂りたい成分。シニア犬に特に与えたい栄養素が豊富なのです。少量で良質なタンパク質が得られるのも胃腸にやさしいポイントです。

・菜の花

βカロテンやビタミンC、ビタミンEといった抗酸化成分が豊富に含まれています。これらは細胞を酸化ストレスから守り、免疫力の維持や老化予防に役立ちます。独特の苦み成分(イソチオシアネート)は、胃腸の働きを活発にし、消化を助ける作用があります。油で炒めることで比較的食べやすくなりますし、また摂りたい栄養素の吸収を助けてくれます。

・かぼちゃ

菜の花と同じ抗酸化成分を含み、また消化にやさしくエネルギー補給に役立ちます。自然な甘みがあり、多くの犬が好む野菜のひとつです。

愛犬用ポタージュ鯵と菜の花添えレシピ

■材料

 

・野菜フレーク かぼちゃ https://petpro.jp/product_1006/ 6g

・じゃがいも 60g

・鶏モモ肉 40g

・鯵 30g

・炊いた白米 20g

・菜の花 15g

・生モズク 小さじ1

・かつお節 ひとつまみ

・桜エビ 2匹(なくてもいい)

・オリーブオイル(サラダ油) 小さじ1

・牛乳または豆乳 40g

・水 150g

※上記のレシピは体重4kg成犬の一日分のカロリー相当量になります。適量を与えて下さい。

※鶏モモ肉は皮付きで使用します。カロリーを控えたい場合は取り除いてください。菜の花が手に入らない場合は、小松菜、青梗菜、春菊などを代用してください。

※鯵は小骨を取り除いておきます。

 

カロリー(全量):およそ310kcal(材料全量)

 

 

 

■作り方

①材料を切ります。目安として、じゃがいもは1cm角、菜の花は食べやすい大きさに粗みじん切りより大きめ、鯵は幅1cmで長さ3㎝、鶏モモ肉は2cmです。(小型犬が食べやすい大きさにしています)モズクも長い場合は小さく切っておいてください。

②小鍋に水、じゃがいも、鶏モモ肉、モズクを入れて加熱します。鶏モモ肉は出汁の役割もあるので水から入れておきます。火が通ったころに白米、牛乳(豆乳)を入れてさらに2分ほど煮てから火を止めます。

③フライパンにオイルを引き、まずは鯵を炒め、あとから火が通りやすい菜の花、かつお節、桜エビを入れます。

仕上げは②を冷ましてから器に入れ、③を盛りつけたら出来上がり。

 

 

■与える量(給与量)の目安やアレンジ

全量(レシピ分量)は300kcalで、体重4㎏成犬(避妊・去勢済み)の1日分の摂取カロリー相当です。

冷めると、じゃがいもと白米のデンプン質でとろみが増し、もったりとした食感になります。出来上がり写真は鯵と菜の花をトッピングにしましたが、全部混ぜておいたほうが残さず食べるタイプもいることでしょう。愛犬の食べっぷりを観察しながらアレンジしてください。鶏モモ肉はポタージュの風味を良くする役割がありますが、鯵を好む場合は、鶏モモ肉の代わりに全量を鯵(合計70g)にしても良いでしょう。脂肪は少なくタンパク質を増やすことができます。

逆に鶏モモ肉だけにしたい場合は、全量で100gほどにするとタンパク質をしっかり摂ることができます。脂肪が多くてカロリーが高くなりますが、何日も続けるようなことでなければ1週間のうちで調整して後半は低カロリーにして調整します。たとえば、鶏モモ肉ではなく、鶏胸肉やささみを使うとカロリーを減らせます。

さいごに

今回は早春を意識した食材を使ったレシピでした。このように手作り食は季節に合わせて考えるので体にもやさしい食事が作れます。栄養バランスが心配な場合は、ドッグフードの2割分だけを手作り食に置き換えてもいいでしょう。

生肉や生魚を調理する際の注意点として、犬は私たちよりも胃酸が強く、雑菌に対する抵抗力が高いといわれています。ですが、免疫力が低下している場合やシニア犬では影響を受けることがあります。そのため、生肉や生魚を調理する際は、常温で長時間放置しないことや、ドリップ(肉や魚から出る水分)が周囲に飛び散らないようにすることなど、普段の調理と同様の注意が必要です。安全に配慮しながら、ぜひ手作り食で愛犬の健康をサポートしてみてください。