愛犬用お魚とささみの根菜グラタン風【ペット栄養管理士監修】

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山本由能(ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法上級インストラクター師範)

「愛犬との暮らしをきっかけに犬の栄養学をたくさん学び実践してきました。
私が作ったごはんを愛犬が喜んで食べてくれる様子を見るのが何より幸せ。
愛犬の心と体を健康にするごはんを多くの人に伝えていきたいと思っています。」

 

11月は秋の終わり。地域によっては、もう冬の気配を感じる頃かもしれません。

気温の低下とともに、体は冷えやすく、思わず肩をすくめてしまう季節です。

 

そんな時期にぴったりなのが、体を内側から温めてくれる「お魚とささみの根菜グラタン風ごはん」。

やわらかな鱈とサーモンに、ささみを合わせ、旬の根菜をたっぷり使いました。

じゃがいもと昆布だしのソースを合わせ、香ばしいパン粉でグラタン風に仕上げています。

 

本格的な寒さが訪れる前に、体をやさしく労わるごはんです。

 

今回は、この「お魚とささみの根菜グラタン風」の素材の役割と作り方を、ペット栄養管理士の山本がご紹介します。

魚と昆布でととのえる、秋の養生

秋は、体が苦手な「冷え」が始まる季節。本格的に寒くなる冬に不調を出さないためには、秋のうちから体をととのえる養生が大切です。中医学でも、秋は「腎(じん)」のケアを始める季節。冬に向けてエネルギーを蓄えるための知恵が、たくさん伝えられています。

犬たちにとっても、夏の疲れを引きずりやすく、冷えや血の巡りの滞りが少しずつ影響し始める頃。そんな季節に役立つのが、「魚」と「昆布」の組み合わせです。

◆魚(サーモン・鱈)
秋から冬にかけて、魚は体をやさしく温めて元気を補う食材。サーモンの温性は、冷えやすい季節の体を温め、血行を促して皮膚や被毛のケアにも役立ちます。
また良質な脂質を持ち、特にEPADHAは、血液の流れをスムーズにし、冬に向けた体づくりをサポートしてくれます。

一方の鱈はクセがなく、消化にやさしい平性の食材。サーモンの脂質をほどよく和らげてくれるので、2種類を組み合わせることで、温めと整えのバランスがとれた理想的な一皿になります。

◆昆布だし
昆布は、海のミネラルを豊富に含み、腎をいたわる食材として昔から親しまれています。
その穏やかなうま味は、体の水分バランスをととのえ、内側からしっとりと潤いを与えてくれます。

出汁として使えば、塩分を控えながらも素材の味を引き立て、心までほっとするような温かみのある仕上がりに。

さらに、昆布のグルタミン酸とうま味の相乗効果で、魚や根菜の風味がいっそう引き立ち、自然なおいしさが広がります。

愛犬用お魚とささみの根菜グラタン風のレシピ

■材料

・野菜フレーク じゃがいも https://petpro.jp/product_16861/ 5g

・サーモン 30g

・鱈 30g

・ささみ 40g

・レンコン 20g

・サツマイモ 20g

・ブロッコリー 15g

・ニンジン 15g

・太白ゴマ油(もしくはサラダ油など) 小さじ1

・パン粉 3g

・昆布だし 100ml

・卵殻カルシウム ひとつまみ(商品の給与量を参考にしてください)

※上記のレシピは体重4kg成犬の一日分の目安量です。適量を与えてください。

※毎食手作り食を続ける場合は、カルシウム補給を意識しましょう。
一方、たまに与える程度であれば、卵殻カルシウムは省いても問題ありません。

 

カロリー(材料全量):約240kcal

 

 

■作り方

①材料は食べやすい大きさ(写真では魚やささみは約1.5㎝角ほどにしています)に切ります。

ニンジン、レンコンは消化しにくいため、細切りや薄切りがいいでしょう。野菜を食べなれない場合は、出来るだけ小さなみじん切りにしてください。

②小鍋に、昆布だし(大さじ1.5を取り分けた残り)と水200mlを入れます。

野菜のうち、ニンジン・レンコン・サツマイモを先に加えて火にかけます。

沸騰したら中火にし、約5分茹でます。

その後、魚・ささみ・ブロッコリーを加え、灰汁が出たらその都度取り除きます。

すべての材料に火が通ったら、火を止めて粗熱を取ります。

③アルミホイルの上にパン粉を広げ、太白ごま油をまわしかけます。

トースターで約1分加熱し、きつね色になり始めたら取り出します。

焦げやすいので、色づき始めたら早めにストップしてください。

④野菜フレーク(じゃがいも)に取り分けておいた昆布だしを混ぜて、とろっとしたソースにします。

器に②とカルシウム剤を適宜入れ、その上にソースを乗せてさらに③のパン粉をふったら出来上がり。

 

■与える量(給与量)の目安やアレンジ

今回のレシピは、体重4kgの成犬(避妊・去勢済み)の1日分の分量で、カロリーはやや控えめです。そのまま1食分として与えても、トッピング用に小分けしてもOKです。

カロリーを増やしたい場合は、ささみを鶏もも肉や豚肉など脂の多い肉に変えたり、炊いた白米を30gほど加えるのもおすすめです。

炊いた白米30gで、約47kcalアップします。

これで、体重4kgの避妊・去勢済み成犬にとって平均的な1日の摂取カロリー(約280kcal前後)になります。

逆にカロリーを控えたい場合は、パン粉を焼くときに油を使わず、乾煎りするように焼いてください。

さいごに

今回のレシピは、冬に備えて体を内側から温めることを意識しています。

じゃがいもとパン粉でグラタン風に仕上げたのは、私たちが見た目を楽しむだけでなく、好き嫌いのある愛犬にもいろいろな食材を食べやすくする工夫です。

 

素材の種類が多いので、少し手間に感じるかもしれませんが、手作りの時間も、愛犬との心のぬくもりに変わります。

お時間のあるときに、ぜひ“ごはんの冬支度”を楽しんでくださいね。