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【愛玩動物飼養管理士監修】愛猫が毛玉を吐くのは、いいことなのか?

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松尾 猛之(ねこライフ手帳製作委員会委員長/愛玩動物飼養管理士1級)

ペット用品メーカー勤務を経て、母子手帳からエンディングノートまで、愛猫との生活記録をオールインワンで記入できる「ねこライフ手帳ベーシック」を2019年に製作しました。手帳の販売を通して、飼い主である人間が愛猫の個性と向き合い、理想の暮らし方を自分で考えることの大切さをお伝えしています。

 

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ねこライフ手帳製作委員会の松尾です。今回もよろしくお願いいたします。

 

愛猫が自分の体をペロペロと一生懸命にグルーミング(毛づくろい)している姿は、見ていて心がなごみますね。

 

巧みに体をくねらせたり、顔を洗う時には唾液をつけた手でゴシゴシしたりと、猫ならではの器用さを目にできる独特の光景といえます。しかしキレイ好きな愛猫の身だしなみであるグルーミングは、被毛を飲みこんでしまう原因になることを忘れてはいけません。

 

ウチの愛猫、ちゃんと毛玉を外に出せているかな? と気になっている方も多いでしょう。

でも、飼い主自らが何か手を打たない限り、この心配を減らすことはできません。

 

今回は愛猫の「毛玉問題」解決について、飼い主ができることを考えていきます。

 

 

 

被毛の特徴は猫それぞれ。生え方、抜け方の観察も大事。

 

猫の被毛には、個体によっていろんな特徴の違いが見られますが、中でも抜け毛の量に関係してくる要素は主に2つあると考えます。

 

1つ目は、シングルコートとダブルコートに分けられる「生え方の構造」。

シングルコートが単一の生え方なのに対して、ダブルコートは短め(アンダーコート)と長め(オーバーコート)の二重構造となるため、被毛のボリュームも全体的に大きくなります。

 

2つ目は、一般的に春と秋の2回とされる「換毛期」。

被毛の生え変わりが顕著になり、抜け落ちる毛も目立って多くなりやすい時期を指します。あくまで抜け毛のピークという意味ですので、個体によっては換毛期以外でも抜け毛が増える状況はあると考えておきましょう。

 

 

愛猫の抜け毛事情は千差万別。ほとんど目立たない猫もいれば、床にゴロンとしただけで被毛が散らばってしまう、という猫もいます。

 

だっこをしただけで服に愛猫の毛がいっぱい付着したとか、目に入ってしまったとか、ご経験をお持ちの方も多いかもしれません。

 

被毛も愛猫が持つ個性の1つですから、色や柄だけでなく生え方、抜け方についてもしっかりと観察して、愛猫の特徴をつかんでおきたいものです。

 

 

 

 

飲み込んだ被毛を、愛猫はどうやって外に出している?

 

グルーミングは被毛を舐める行動ですから、愛猫が被毛を口に入れてしまう、あるいは無意識に飲みこんでしまうのは、致し方ないこととなります。

 

被毛は体内で消化されないため、外へ出すには口からゲーと吐くか、排便によって一緒に出すしか方法がありません。ご自宅の愛猫はどちらのタイプなのか、それとも両方なのか、もうお分かりになっているでしょうか。

 

 

毛玉を吐く猫の場合、吐き方や頻度などを観察して「普段、愛猫はこのように吐いている」という基準を把握しておくことが大切です。

基準があることで、普段通りなのか、病気を疑うべきかの判断がつきやすくなり、余計な不安を減らすメリットにもつながります。

 

排便で出す猫の場合には、トイレ掃除の際のチェックが欠かせません。

明るい色の被毛なら色目で分かりますが、黒やこげ茶の毛だと分かりにくい場合もあります。時間が経てば猫のウンチも乾燥して硬くなるので、割ってみたら「これ、毛だな」とすぐに判別できるでしょう。ウンチの観察も、ご自宅で手軽にできる健康管理ですので、ぜひ1度やってみてください。

 

 

不調の原因となる「毛球症」に注意

 

飲み込んだ毛玉を自然に排出できればいいのですが、中にはうまく吐き出せない、ウンチと一緒に排出もできないという猫もいます。

 

外に出せなければ、被毛の塊となる毛玉は体内に蓄積されていきます。

毛玉を溜め込んだまま、体調を崩してしまう「毛球症」には気をつけましょう。

 

 

被毛が排出されないままだと、猫にとってはゴロンとした異物が入っている状態が続くことになります。もちろん体調不良や食欲不振の原因にもなりますが、体内の毛玉は飼い主が肉眼で確認できないもの。元気がない様子が見られたら、病院で調べてもらうしかありません。

 

また今はうまく排出できていても、加齢や体力の低下によって毛玉が出しづらくなってしまうこともあります。多分この先も大丈夫だろうと安心せず、異変にすぐ気づくためにも継続的な観察は大切かと思います。

 

 

毛玉吐きといえば・・・猫草は本当に必要なのか?

 

「毛玉を吐かせたかったら、猫草を食べさせればいい」

「猫草があれば、毛玉を溜め込む心配はないよね」

 

どちらも決して間違いではありませんが、毛玉に関する問題は猫草で解決できる、という考えを鵜呑みにするのはいかがなものかと、私は思います。

 

猫草の通称で知られる緑の植物は、大麦や燕麦といったイネ科の若葉です。

これを猫たちがパリパリと食べることで、毛玉を吐く効果にどうつながるのでしょうか。

 

ネット上では「猫草の尖った部分が胃袋を刺激し、嘔吐を誘発させる」という類の記述がよく見られます。さらに調べていくと、「葉酸不足を補うため」「胃の調子を整えるため」「便としての排出を助けるため」などなど、猫草を食べる理由についてはいろんな説が流れています。

 

ただ「諸説ある」という時点で、少なくともすべての猫にとって「毛玉には猫草」が当てはまると思わないほうがいいのは確かですね。

 

 

それよりも、愛猫目線でしっかり考えてあげたいのは、

人間も猫も、吐く行為が「しんどい」のは同じだということ。

 

 

自然に吐くことはあっても、猫草で無理に吐かせる必要があるかどうかは、愛猫の様子を見ながら考えるべき飼い主の判断となります。

たとえば、うまく吐き出せない愛猫、吐きづらそうな愛猫に、猫草を使った毛玉吐きが適切なのかどうか。飼い主がちゃんと考えてあげる必要はあるでしょう。

 

「食べたら、ちゃんと毛玉を吐いてくれる」というルーティーンがある、あるいは何度か試した上でその流れになりそうであれば、猫草は有効ですが・・・細かな経過観察もなく「吐かないから猫草を」という短絡的な発想はあまりよろしくないと、私は思うのです。

 

毛玉の原因を減らすために・・・日常的なブラッシングは効果大

 

毛玉問題において、何よりも前もって考えておきたいのは、元を断つこと。

抜け毛が少しでも口に入らないよう、こまめなブラッシングで先手を打ちましょう。

 

ブラシにもいろんな素材や形状があります。被毛の取れ具合だけでなく、操作性や愛猫にとっての使用感(気持ち良さそう、とか)も選ぶ際の重要なポイントとなります。特に長毛種の場合には、抜け毛だけでなく、もつれ毛などもうまく回収できるブラシが便利です。

 

ベストなものにたどり着くには試すしかありませんが、愛猫の機嫌を見ながら、最適なブラシを選んであげてください。

 

またブラッシングには、被毛を取る以外の作用があることにも注目したいところです。

愛猫のリラックス効果はもちろん、ブラシを動かすことで皮膚、そして内臓に適度なマッサージ効果が与えられる点については、腎臓の健康維持につながるメリットだと考える有識者もいます。愛猫との有意義なコミュニケーションづくりのためにも、ブラッシングはぜひ習慣化したいですね。

 

 

■「飲み込ませないこと」を第一に考えて

 

愛猫の暮らしにとって、何が最善の方法となるのか。

よく観察して特徴をつかみ、効果的な手を打ってあげることは、毛玉問題の解決にも通じる考え方といえます。

 

今回のポイントは毛玉の排出だけでなく、その原因となる飲み込みを少なくさせることへの対策も重要だということ。単純な話、毛玉を溜め込む原因を作らなければ、毛球症の心配は確実に減りますからね。

 

予防の観点では、毛玉ケアができるフードやサプリメントも数多く市販されていることから、複合的な手段で取り組むのも良いでしょう。

 

愛猫にとってグルーミングは、自分の全身、そして心を整える大切な作業。

身だしなみで余計な被毛を飲み込ませない気配りもまた、飼い主の役割なのです。

 

 

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