「愛犬との暮らしをきっかけに犬の栄養学をたくさん学び実践してきました。
私が作ったごはんを愛犬が喜んで食べてくれる様子を見るのが何より幸せ。
愛犬の心と体を健康にするごはんを多くの人に伝えていきたいと思っています。」
新しい年が始まりました。いかがお過ごしでしょうか。家族が揃う特別な時間に、愛犬にもごちそうの楽しみがたくさんあったのではないでしょうか。
今回はペット栄養管理士の山本が、愛犬にもうれしい「2色きんとん」をご紹介いたします。おせち料理の栗きんとんをイメージして愛犬用にアレンジしたものです。通常は砂糖類を使って甘みを強くしてねっとりした食感に仕上げるものですが、野菜フレークを使って自然な甘みをプラスし犬にも食べやすいきんとんにしました。
きんとんの中には好きなものを入れて楽しめますので、お正月だけでなく、ぜひ普段にも気軽に作ってみてはいかがでしょう。ぜひ参考になさってください。
食材の豆知識(さつまいも)
さつまいもは、なんといっても甘味が魅力です。焼き芋のおすそ分けを楽しみに待っている愛犬も多いですよね。さつまいもは糖質(甘味)や食物繊維が豊富なだけでなく、細胞の健康維持に役立つビタミンCやビタミンEも含まれています。
何より近年ダイエットで注目されているのは「レジスタントスターチ」が豊富なことです。レジスタントスターチはでんぷんの一部で、温かい状態では吸収率が高く、冷めると吸収率が低くなる性質があります。
このため、温かいごはんは消化吸収しやすく、その分、太りやすいものになりますが、冷やごはんは逆にでんぷんの消化吸収が難しい性質になり、太りにくいと言われています。このように、焼き芋を温かいうちに食べると、でんぷん(糖質)の吸収率が高まりますが、カロリーを抑えたい場合は、きんとんのように冷めた状態で食べるのがおすすめです。
摂取カロリー(食べた量に含まれるエネルギー)は変わりませんが、実際に体内でエネルギーとして利用されるカロリーは、冷めた状態で食べたほうが抑えられるのです。
ダイエット中の人や愛犬には、レジスタントスターチの働きを意識してみてはいかがでしょう。レジスタントスターチは、消化されずに大腸まで運ばれてから腸内細菌(善玉菌)の餌になるため、善玉菌を元気にして腸の健康維持に役立つ成分でもあります。
ただし、どれだけカロリーを抑えられるかは正確にはわかっていませんし、さつまいもは冷めた状態でももともとカロリーが高い食材です。そのため、食べ過ぎには十分に注意してくださいね。
愛犬用2色きんとんのレシピ
■材料
・野菜フレーク とうもろこし https://petpro.jp/product_1007/ 大さじ3
・野菜フレーク にんじん https://petpro.jp/product_1008/ 大さじ1
・さつまいも 80g
・好みの肉もしくはウェットフード(固めが作りやすい) 大さじ1
・水 小さじ4
※緑の葉(小松葉)は飾りです。キュウリなどを型抜きしてもいいですね。
※上記のレシピは小型犬用に小さなきんとんが4個作れる量です。適量を与えてください。
カロリー(全量):およそ180kcal(材料全量)
■作り方
①さつまいもを茹でます。柔らかくなったら、水気を飛ばしてから1/5量を取り分けます。
1/5量のさつまいもには野菜フレーク にんじん、水小さじ1を混ぜます。
4/5量のさつまいもには野菜フレーク とうもろこし、水小さじ3を入れて混ぜてから冷蔵庫で少し冷やしておきます。(冷やした方が作りやすいです)
※さつまいもは火が通りやすいように小さく切って水(分量外)に10分ほどさらしておくと黒くなる変色が抑えられます。
② きんとんの中に入れる具材として肉は小さく切っておきます。
あまり柔らかすぎる(水っぽい)ものはキッチンペーパー等で水気を取っておきましょう。
写真の左側は牛肉、右側はウェットフードです。
③きんとんは、1回に1/4量ずつ作っていきます。
まずはラップ(20㎝くらいあるといいでしょう)を広げます。その上にとうもろこしを混ぜたさつまいもを敷き、真ん中にくぼみを作って②の具材を乗せます。
縁ににんじんを混ぜたさつまいもを置きます。ラップで包むように丸めます。
このときに人参が出来上がりの上の位置にくるようにして最後はラップを軽くひねってとがったような形を作れば出来上がり。
■与える量(給与量)の目安やアレンジ
全量(レシピ分量)は180kcalで、1個あたり45kcalとなります。体重4㎏成犬(避妊・去勢済み)の1日分の摂取カロリーの1割相当です。そのため、1個与える代わりに主食を1日分から1割量を減らしましょう。
今回の2色きんとんはお正月を意識したものなので、少し手間がかかりますが、普段はさつまいもと野菜フレークだけを丸めて簡単に作ってもいいでしょう。特に野菜が苦手な愛犬にも比較的食べやすいので試してみてください。こういうもので少しずつ野菜を食べることに慣れてくれるといいですね。
小さく丸めたものは、苦手な薬を与えるのにも便利です。その際は小さめに作ってください。最初の一口は薬が入っていないものにして、早くもっと食べたいという気持ちを盛り上げてから薬入りを食べさせるのがコツです。
さいごに
今回はさつまいもと野菜フレークで作る2色きんとんをご紹介しました。野菜フレークの甘みは自然でやさしいですし、混ぜることでさつまいものしっとり感も続きます。
見た目もかわいいのでぜひ作ってみてくださいね。私はお正月に食べる栗きんとんが大好きなので、愛犬にもちょっとおすそ分けしたくなります。この「ちょっと」がいつの間にか習慣になってしまうのは怖いので、自制が必要です。
その点でも、できれば愛犬用にヘルシーなレシピで作れば心配が減ります。食べることが楽しみな愛犬はもちろん、食べることが少々苦手な愛犬にも、おいしいごはんで健康維持を目指したいですね。今回のレシピが少しでも参考になりましたら幸いです。