【愛玩動物飼養管理士監修】大切なのは無限の好奇心!いろんな「猫の不思議」に迫ってみよう

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松尾 猛之(ねこライフ手帳製作委員会委員長/愛玩動物飼養管理士1級)

ペット用品メーカー勤務を経て、母子手帳からエンディングノートまで、愛猫との生活記録をオールインワンで記入できる「ねこライフ手帳ベーシック」を2019年に製作しました。手帳の販売を通して、飼い主である人間が愛猫の個性と向き合い、理想の暮らし方を自分で考えることの大切さをお伝えしています。

 

ねこライフ手帳製作委員会の松尾です。今回もよろしくお願いいたします。

 

俊敏かつ柔軟な身のこなしから、きわめて繊細な感覚まで。

猫は狩猟本能を持つ動物ならではのスゴさを、飼い主にいくつも見せてくれます。

 

特有の能力を間近に感じることができる。間違いなくこれは愛猫と暮らす家族が味わえる大きな魅力ですが、中には我々の理解が及ばない別次元の行動を取ることも少なくありません。

 

愛猫の振る舞いからいろんな想像がかき立てられる毎日。中には少々オカルトめいたものもありますが、そこに大きな好奇心を抱けるのも飼い主の特権です。

 

今回は「猫の不思議」について、私が思ったままに書きました。

猫と暮らす皆さんに共感していただけるものがあったらうれしいです。

人間のヒゲとは何もかも違う「猫のヒゲ」

見れば見るほど不思議でならないのが「猫のヒゲ」。

ただ生えているだけでなく、猫たちにとっては大切な身体の一部となる感覚器です。

 

人間のヒゲと決定的に違うのは、猫のヒゲには神経が通っていること。

音やにおい、湿度などを鋭く察知するセンサーは、普段の行動に必要な情報を得るためにも欠かせないものです。もし加齢などで目が悪くなっても、ヒゲがあれば視力を補うのに十分な役割を果たせるといいます。

 

床に抜け落ちているヒゲを見つけて拾い上げた時、思った以上の硬さに驚いた方も多いのではないでしょうか。私と暮らす3頭の猫たちにも長さ、伸び方、根元の色などそれぞれに特徴があり、ヒゲにも愛猫の個性が詰まっていることを実感させてくれます。

 

反応や感情次第で向きや角度を自在に変えられるのも、人間からすれば不思議でしかありませんね・・・ちなみに目の上や頬などに生えている毛も「ヒゲ」なのです。

猫は「あさっての方向」に何が見えている?

テレビや窓の外を興味深そうに眺めている愛猫の姿は微笑ましいですね。

でもたまには壁をじっと見つめたり、天井や部屋の隅っこを凝視したり・・・猫には何が見えているのか、ちょっと理解に苦しむ光景もあります。

 

目線の動きから「ああ、小さな虫やほこりを追いかけているんだな」と分かる場合もあります。しかし時には思わぬ方向や場所へ視線を向けることもしばしば。愛猫は何を思い、何を感知しているのか・・・とにかく謎です。

 

猫が虚空を見つめる様子については、科学的な論理の解明まで至っていないようです。

猫は人間に聴こえない音域を耳にできたり、人間に分からない“気”のようなものを感じたりできる生き物。人間の口で説明できない行動もたくさんあるよ、と割り切るべき例の1つかもしれません。

 

なおこの件ですが、「ネコには霊が見えている」という仮説に基づいたフェレンゲルシュターデン現象という考察がネット上に出回っています。しかしこれは人間によって作り上げられたユーモアに満ちたジョークですので、真に受けないようご注意ください。

直接的な癒しに・・・「猫を乗せる」心身への効果

ベッドやソファーで横になっていたら、飼い主の上に乗ってくる愛猫。

我が家にも1頭いますが、迷惑どころかこんな幸せなことはありません。もっとも体重2.9kgの軽い子なのが何よりです。

 

1度、うつ伏せで寝ている私の腰の辺りに乗ってきたことがありました。

そのまま丸くなってのどをグーグー鳴らしながら寝てしまったため、私も約1時間動くことができませんでしたが・・・これが思いの他、良いマッサージ効果になったのです。

 

猫は人間より少し平熱が高いので、乗っていた場所はほんのりポカポカ。寝息が軽い振動にもなって、腰に疲れがたまりやすい私に「程よいほぐし」を愛猫が与えてくれました。

 

科学的な考察はさておき、適度な圧力に加えて「猫が自分の上に乗っている」という至福の感情も、飼い主にとっては大きな心身の癒しにつながっています。

 

一般社団法人「ねこと今日」の代表として猫の活動にも尽力しておられる、女優の川上麻衣子さんからも「胃の調子が悪い時、愛猫をお腹の上に乗せたら楽になるんですよ」という話を聞いたことがあります。猫と一緒に暮らす人は心疾患が軽減されるという報告もあるそうで、猫が飼い主にもたらしてくれる健康への効能は、あながち軽視できないものかもしれません。

うっかり舐められると・・・舌の表面はとってもザラザラ

人間と猫で大きく異なる身体の部位といえば、舌も非常に特徴的です。

遠目からは分かりにくいですが、表面はかなりザラザラしています。

 

ザラザラの元になっているのは中央部にある糸状乳頭。たくさんの小さな突起があり、毛づくろいにおいてブラシのような役割を果たします。また突起には空洞があり、被毛や肉球を舐める時には唾液がこの空洞を通って送り込まれていく仕組みになっているのです。

 

愛猫に顔を舐められた経験がある飼い主の中には「なんでこんなに痛いの?」という感想を持った方も少なくないでしょう。人間の皮膚に対しては刺激のある表面ですが、猫が自らの快適さを守るためにはこのザラザラを欠かすことはできません。

 

ちなみにフランスには「ラング・ド・シャ」という名のお菓子がありますが、直訳すれば「猫の舌」。ザラザラした表面が似ていることもネーミングの理由になっているといいます。

猫にとっては普通でも、人間の物差しでは「超能力」になる

愛猫と暮らしていると、ネコという生き物の奥深さに感心させられることがたくさんあります。

 

跳躍力や柔軟性といった人間と単純比較できるものだけでなく、我々が想像する枠組みをはるかに超えた感覚、そしてその感覚に必要な器官を有していることも「猫の不思議」を感じさせる要素といえるでしょう。

 

もともとは自然の中で発揮されていた能力の数々。もちろん猫たちにとっては生まれ持ったものを普通に使っているだけのことかもしれません。しかし人間の基準においては驚きに満ちた「超能力」であるという表現も、あながち間違ってはいないような気がします。

 

 

私が愛猫と向き合う時に必ず心がけていることが、かつてムツゴロウさん(畑正憲さん)が仰っていた言葉に含まれています。

 

「マニュアルで考えてしまったら猫のことは理解できない。猫は1匹1匹、全部違う。目の前にいる不思議な物体にぶつかって、学んでいくことが大切だと思う」

 

愛猫の中にあるいろんな不思議を、あなたも好奇心を持って間近で観察してみませんか?

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