
「愛犬との暮らしをきっかけに犬の栄養学をたくさん学び実践してきました。
私が作ったごはんを愛犬が喜んで食べてくれる様子を見るのが何より幸せ。
愛犬の心と体を健康にするごはんを多くの人に伝えていきたいと思っています。」
夏の暑さが少しずつ和らぎ、朝晩には秋の気配を感じる9月。
とはいえ、この時期は夏の疲れがお腹に残り、体も少しお疲れモードになりやすい時期です。
そんなときにおすすめなのが、消化にやさしく、食べるとほんのり甘みが広がる「お魚とにんじんポタージュ」です。
やわらかい鱈に、旨みを引き立てる少量のマグロ、香り豊かな野菜を合わせ、オートミールと長芋のとろみで仕上げました。魚が苦手な愛犬には、鶏肉に置き換えても作れます。優しい味わいと栄養をぎゅっと詰めた、秋の入り口にぴったりの一皿です。
今回は、愛犬用お魚とにんじんポタージュの素材の役割やレシピについて、ペット栄養管理士の山本がご紹介します。
とろみでやさしく包む、オートミールと長芋の力
季節の変わり目は、人も犬もお腹が少し疲れやすい時期です。特に9月は、夏の暑さによる消耗や、室内での冷房による冷えが重なる時期。
犬たちは私たちより低い位置で過ごすため、クーラーの冷気を直接受けやすく、思った以上に体が冷えていることもあります。そんな環境が続くと、胃腸の働きが落ち、本調子を維持しにくくなります。
そんなときに活躍するのが、「とろみ」を上手に使ったごはんです。今回のレシピでは、とろみの素としてオートミールと長芋を選びました。
◆オートミール
水分を含むとふんわりやわらかくなり、β-グルカンという水溶性食物繊維が自然なとろみを作ります。このとろみは食材同士をなじませ、胃腸にやさしい口当たりにしてくれます。さらに、消化しやすい炭水化物源として、元気を補うエネルギーにもなります。
◆長芋のすりおろし
とろみづくりの名人です。植物性の粘り成分は水溶性食物繊維や粘性多糖類で構成され、胃腸の内容物をゆるやかに移動させるため、消化への負担が少なくなります。また、長芋には消化酵素のアミラーゼが含まれ、デンプンの分解を助ける働きもあります。やわらかな甘みは、魚や野菜の風味をやさしく包み込み、全体をまろやかに整えます。
オートミールと長芋、この二つの力で、季節の変わり目にぴったりのほっとする一皿になります。
愛犬用お魚とにんじんポタージュのレシピ
■材料
・野菜フレーク にんじん https://petpro.jp/product_1008/ 2g
・鱈 30g
・マグロ 10g
・オートミール 5g
・長いも 10g
・小松菜 5g
・パプリカ 5g
・マイタケ 5g
・白ゴマ 0.5g
・あおさ 少々
・牛乳(ミルク類) 40ml
・オリーブオイル 小さじ1/2
※上記のレシピは体重4kg成犬の半日分の分量です。適量を与えてください。
なお、ミルクは(犬用ミルク、ヤギミルクなど愛犬に合わせて変更してください)
カロリー(材料全量):約150kcal
■作り方
①鱈とマグロは食べやすい大きさ(写真では約1.5㎝角ほど)、小松菜、マイタケはみじん切りに、パプリカは細切りに。長いもはすりおろします。
②小鍋に牛乳、水100ml(分量外)、野菜フレーク、鱈の半分量を入れて加熱し、鱈に火が通ったら火を止めて冷まします。
③フライパンにオリーブオイルをひき、残りの鱈、マグロ、小松菜、マイタケ、パプリカを炒めます。
炒めた小松菜とマイタケは②の鍋に加えます。残りの鱈・マグロ・パプリカはトッピングとして盛りつけます。最後にすった白ゴマとあおさをふれば出来上がりです。
■与える量(給与量)の目安やアレンジ
今回のレシピでは、体重4㎏の成犬(避妊・去勢済み)の半日分の分量で、カロリーは少し高めです。低カロリーにしたい場合は、牛乳を小さじ1に減らしたり、パプリカの代わりにトマトにしてもいいでしょう。
作り方のアレンジでは、すべての材料を鍋で煮て、フライパンで炒めるのを省いても作ることができます。オリーブオイルを使わない分、カロリーオフにもなります。
おすすめとしては、小松菜やパプリカなど、緑黄色野菜のβカロテンは脂溶性なのでオイルと一緒に摂ると吸収率が高まります。
また、マイタケやお魚もオイルで炒めることでより香ばしく食欲をそそります。食欲旺盛でカロリーを抑えたい愛犬の場合は、すべて煮る方法で作ってみてください。
さいごに
今回のレシピは、夏の終わりの胃腸疲れを労ったり、シニア犬の食べやすさにも配慮できます。本格的な秋を迎える前にお腹の調子を整えて元気を保ち、おいしい秋の味覚をより楽しみにしたいものですね。
ぜひ、愛犬の好みに合わせてアレンジを楽しみながら作ってみてください。